北米環境教育学会2012報告
二ノ宮リム さち(東京農工大学)
北米環境教育学会(NAAEE)第41回大会が、2012年10月9日~13日、カリフォルニア州オークランドで開催されました。テーマは「Gaining Perspective: Seeing EE Through Different Lenses(展望を得る:異なるレンズから環境教育を見る)」。9日~10日のリサーチシンポジウムには140名の研究者や学生が、そして10日~13日の本会議には北米(アメリカ、カナダ、メキシコ)を中心とする世界23カ国の環境教育実践者・研究者1200名が集まりました。日本からは、小堀洋美氏(東京都市大学)小玉敏也氏(麻布大学)、降旗信一氏(東京農工大学)、二ノ宮リムさち(東京農工大学)らが参加しました。
リサーチシンポジウム初日、この4名にコーネル大学のMarianne Krasny氏が加わり、「ENVIRONMENTAL EDUCATION AFTER THE JAPAN QUAKE ON MARCH 11,2011」と題したパネルセッションを行い、日本における東日本大震災の衝撃とその経験を受けた環境教育の取組について話し合いました。まず小堀氏の進行で、小玉氏から学校教育、降旗氏から地域社会、二ノ宮リムより高等教育における取組について報告し、その後、Krasny氏のモデレートにより意見交換を行いました。参加者には、今年日本の環境教育学会大会にも参加した元北米環境教育学会会長のJoe Heimlich氏(オハイオ州立大)やカナダの先住民についての研究者で日本の地元学研究にも関心を寄せるGreg Lowan-Trudeau氏(北ブリティシュコロンビア大)も参加し、活発な議論が展開されました。
このほかにも、リサーチシンポジウムや本会議において日本の参加者によるポスター・口頭発表が行われ、また様々な場で旧知の再会や新たな出会いがあり、情報や視点の交流とネットワーク構築が進みました。
NAAEEの大会では、数多くのボランティアの支えにより、多様で興味深い企画が次々と繰り広げられます。今回も、社会の様々な場で活躍するスピーカーによる講演や、自然体験や映像制作体験など様々なワークショップやエクスカーション、映画上映、シティツアーなどが連日行われ、また発表も通常の口頭・ポスター発表のほか、ゲーム、ダンス、音楽などを取り入れたワークショップ、映像発表、ラウンドテーブルディスカッション等、工夫をこらしたものが様々みられました。日本環境教育学会の大会とは規模など多くの違いがありますが、多様性や楽しさ、そして各人の工夫を大切にする姿勢は、見習うべきところかもしれません。
2013年2月18日 掲載