「福島第一原発事故によって避難した
子どもたちに対するいじめの根絶を
〜日本環境教育学会からのお願い(会長緊急声明)〜」
2016年11月20日
日本環境教育学会
会長 諏訪哲郎
2011年3月11日に発生した大津波による東日本大震災から間もなく6年。津波そのものの被害からの復興は徐々に進んでいますが、福島第一原子力発電所の事故処理は遅々として進まず、今なお多くの方々が避難生活を余儀なくされ、帰還が絶望視されている地域もあります。
日本環境教育学会は、一部の地域で福島県から避難してきた子どもや住民が放射能汚染を理由に「いじめ」や差別を受けていることに対して、2011年5月20日に日本環境教育学会会長名で「福島第一原発事故によって避難した子どもたちを受け入れている学校・地域のみなさんへ」という緊急声明を発表しました。また、授業案「原発事故のはなし」を配布し、非科学的で不合理な差別や偏見によって、避難している子どもや住民が傷つけられることのないように訴えてきました。授業案「原発事故のはなし」には、福島県から避難してきた「太郎君の悩み」を周りの人たちが理解し、励ますよう促す教材も収録しています。
しかし、このほど「いじめ」や差別がその後もずっと続いていたことが明らかになりました。福島県から横浜市に避難してきた子どもが、その後もいじめを受け続けて不登校になった経緯を綴った手記が、代理人弁護士より発表されました。そこには転向先の小学校の児童から、ばい菌扱いされたり、ゆすりを受け続けたこと、そして「いままでなんかいも死のうとおもった。でも、しんさいでいっぱい死んだから、つらいけどぼくはいきるときめた」ことが記されています。
このような事態が進行していたことに適切に対応してこなかった学校や教育委員会に対しては大きな憤りを感じます。しかし、このようないじめを根絶するには、私たち一人ひとりが避難生活を続ける子どもや住民の「悲しみ」や「つらさ」を共有することも必要でしょう。避難している子どもや住民が「いじめ」や差別で苦しめられたり傷つけられたりすることのないように、改めて切にお願いいたします。
なお、日本環境教育学会のホームページ(http://www.jsoee.jp/の「原発と環境教育」)には「授業案『原発事故のはなし』」が7ヶ国語で掲載されているほか、学会としての6年間の取り組みを掲載しております。